NetflixのProduction I.G、ボンズとの包括的業務提携は日本型アニメ製作委員会システムの限界を暗示

NetflixがProduction I.G、ボンズと包括的業務提携しアニメを共同制作することが発表されました。
これは何を意味するのでしょうか?
現在のテレビで放送されているアニメのほとんどが、ビデオグラム(BD、DVDなど)メーカー、原作出版社、テレビ局、レコード会社、ゲームメーカー、アニメ製作スタジオ等々が出資するアニメ製作委員会で製作されています。最近ではこの製作委員会にNETFLIXなどのネット配信会社も出資をして参加をするケースも増えてきますが、伝統的に日本型のアニメ製作委員会は多くの出資比率をビデオグラムメーカーが握り、大きな発言権を有しています。

極端な言い方をすると日本の深夜アニメは、BDやDVDを多く売るための最強の告知媒体として機能、発展したきた一面もあるのです。

従って、アニメの続編の製作の有無がBDの売上枚数によって左右される状況が続いてきました。
しかしながら、高速ネット回線の普及やライフスタイルの変化でBD全体の売上の縮小が続いています。このことでアニメ製作委員会の大半が出資額を回収できない状況に陥り、それが慢性化してきてしまいました。

一時期、アニメ製作委員会にアニメ製作スタジオも出資してスタジオも多くの利益を得られる道を模索してきたわけですが、多くのケースで収支関係だけみれば失敗したと言わざるえなかったのです。これでは制作現場スタッフの待遇に悪影響をもたらしてしまいます。

今回のニュースが示唆するのは日本型アニメ製作委員会とは別のかたちのビジネスモデルの模索が始まったということです。

>Netflixは提携の利点について、Netflix側にとってはアニメラインアップの強化、制作会社側にとってはこれまで以上に多くの海外のアニメファンに作品を届けられる点を強調。Netflixの利用者、アニメの制作に従事するクリエーター、アニメプロダクションにとって「win-win-winの関係」がNetflix上で完結するとしています。

このNetflixの発言通りうまくいくといいですよね。
ただ少し心配なこともあります。

こちらの意見もその通りなのですが、一アニメファンするとテレビ放送がどうなるのか?が心配ですよね。おそらく全く放映されないということはないのでしょうが、相当なタイムラグがあってからの放送になるような気がします。更に言うと、まずはBSで放送されてから地上波にという順番になる可能性もありますよね。

海外のアニメファンにとっては歓迎すべき提携も日本アニメファンにとって、少し我慢を強いられることになるかもしれません。

発表された2本のPVが非常に面白そうなので心配です。