退職代行サービスの報道を見ていて思ったこと


 








もはやこの時期恒例になった新卒社員の速攻退社と退職代行サービスの利用についての連日のテレビ報道。こちらを見ていて思い出すのは数年前、まだ小さな会社の役員をしているとき(小さいので管理部門全部も担当し、当然人事担当役員もしていた)に数ヶ月前に中途採用した若い社員から退職代行サービスを通じて退職手続きの依頼がきたこと。当時は相当驚き、また不愉快な気分にもなった。

でも今から思い返すと、案外合理的な方法のような気もしてきた。まあ、結局こうした人材は企業にとって必要のない人材。やはり退職願い一つ書いて渡したくない、直接伝えたくない人材はいくらなんでも会社内で今後やっていけないだろう。特にホワイトカラーの仕事だとなおさらだとも思う。

つまり退職代行を使ってくれたおかげで無駄な儀式、ヒアリングなどをしてとりあえず形式的に引き止めするなど、いかにも日本的段取りが必要なくなったとも考えれられる。

振り返って、人事担当役員として数多くの若い社員と退職ヒアリングして思いだされるのは、退職を引き止めると条件闘争してくる人が多いこと、多いこと。こうしたひとのほとんどが異口同音に口にするのが、まあ一言でまとめてしまうと要するに、

やりたい仕事だけをやりたい!

そんなこと許すわけないのだけど、聞いてしまうとそれなりに検討し(したふり)をして回答してから退職していただくため、面倒が増える(当然希望を聞いた段階で早く辞めてほしくなるけど)。

考えてみたら会社を辞めるのは本人の自由だし、その先の人生も本人がどうなろうがその人が責任をとることになるので、まあ企業からすればどうでもいい。採用・研修費用が無駄になるとしてもこのままま居座わられるよりは結果的には安上がり。現場の中間管理職からすると評価が下がることになるかもしれない?といろいろ手をかけるけど会社からみると、これも無駄なコスト。

そういう意味では双方にとって合理的なサービスだな、と思う。

ただし、こうした人のその先の人生は知らん。

人事担当していると退職を繰り返す職務経歴書をどれだけみることか。これらを読んでいてわかるのが、99%はキャリアアップできるどころか、どんどんキャリアや条件が下がっていっていて、この負のルーティンから脱出がどれだけ難しいことか。だからすぐに辞めるのはよくよく考えた方が良いと思うよ。自分も計4社の会社にお世話になったけど、一番短い会社で3年の在籍。まあ、最低でもそんなもんじゃないかな?