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自分は賃金が上がらなかった30年をもろにかぶった世代。確かに新卒で就職してしばらくは給料が毎年上がっていたが、その後上がらなくなり、一時期は下がったこともあり、リタイアしてから久々に日本の賃金が上昇するニュースが流れる始末。まさに給料氷河期でがっつり働いてきた。未曾有の30年もの長期のデフレを経験したことになる。
当然経済全体の理屈でいうと最悪のデフレ時代ということになる。だが本当にそうだったのだろうか?とりわけ一般庶民にとってはそこまで悪い時代とは思えない。いわゆる経済的弱者にとっては尚更だ。
デフレが当たり前の世代には幾分バブル時代が誇張されて伝わっていると常々感じている。バブル期は庶民にとっては決して楽しくもないし、暮らしやすい時代でもなかった。ボブル崩壊直前のNHKスペシャルで狂乱地価のせいでもう永久に庶民が家を購入できないと深刻に報道された。まさに一般人は毎年の物価高騰に辟易していたという実感の方が強かった。
その後、土地バブルの崩壊をきっかけにあらゆる資産バブルも崩れ、深刻なデフレ状態に陥り今に至った。その間の給料は前述したとおりなんだけど、上がらなくなったとはいえ、日本の給料水準は高いまましばらくは維持された。なので手の届かかなったマンションの購入も可能になった。ハンバーガーが100円を切り、牛丼も300円以下が常態化した。(個人的にはなんとか人並みにポジションも上がったり転職したりで年収の水準を上げることもできた。たいした額ではないが…)
これは2022年くらいまでドル円レートが100円から120円くらいを維持できていたことが主因だと思う。特に2010年前後の1ドル100円を切った状況が日本の物価を押し下げた。この頃、海外旅行に行くと、本当になんでも安く感じたし、海外留学者も増えた。ちょうど今の日本と海外の状況と真逆の状態が続いた。
ただ長引くデフレは日本経済にじわりと効いてきていた。先に欧米先進国がコロナ対応の金融緩和策の影響がもろにでて激しいインフレに陥る。その後、インフレ退治のために金融引き締め転じたことにより、ついにちょうど良いドル円水準が崩れ、円安となり、日本もインフレ状態になった。それにより投資環境は急激に良化し、しばらくの間は円安&株高で日米何を買っても誰でも儲かる相場が到来した。
さてここまで振り返ってみるとやはり庶民にとって30年は失われていないと個人的には思う。中古だけどマンションも購入できたし、毎年金利が下がるのに呼応して、ローンも借り換えて、繰り上げ返済もでき、当初の予定より、支払総額は少なくなった。その結果、住宅ローン想定の全額を投資に回すことができたことも大きかった。デフレにならないとこうはいかなっただろう。
今、そうしたデフレの状況が逆回転し始めた。アベノミクスで強烈に緩和された流動性を収めるのは本当に大変だと思う。すでに東京のマンション価格は平均で1億円を超えてきた。ファストフードの価格や食料品、光熱費、ガソリンの価格も上昇を続けるはずだ。
個人的には円安トレンドはそう簡単に終わらないとも感じる。投資環境にとっては悪くない。ただ、この先は資産を持つものと持たざるもの差はどんどん開いていく。政治家のインフレ対策と称した財政出動が更にインフレ拡大と円安は進めていき、また政治家は…
この先少なくとも10年は一般庶民にとって、過去30年より良くなるとは思えない。